【受託研究】

起立補助椅子のユーザ評価研究報告書

広島県立東部工業技術センター産業デザイン部
2004年11月9日
1.研究の目的
株式会社中居木工が開発した「起立補助椅子」について,以下の内容にて,立ち上がりやすさの定量,
定性評価を行い起立補助効果を検証する。その結果を製品改良に応用することを目的とする。

2.研究の概要
目的を達成するために,以下のユーザ評価研究を行った。 

   @関節モーメントによる評価
広島県立保健福祉大学,赤外線反射式座標計測装置を用い,立ち上がり動作時の下肢関節モーメン
トの測定を行った。
起立補助機能の有無による足関節,膝関節,股関節にかかる負担を検証した。
  
  A筋活動量による評価
広島県立東部工業技術センターにて,多用途生体アンプを用いた筋電位計測により,高齢者被験者の
着座,起立時の筋活動量を算出し,起立補助機能の有無による筋負担を検証した。
 3.評価椅子の概要 評価椅子は以下の3点。表記をハイタイプ,ロータイプ,スツールとする。  (スツールの評価は掲載していません)
4 ユーザー動作分析(省略)-
 5.関節モーメントによる評価  日時:平成16年9月16日 13:00〜17:00  場所:広島県立保健福祉大学(人体動態研究室)  方法:右写真のように,被験者の肩峰,股関節,     膝関節,足関節,第5趾MP外側にマーカを     付け,赤外線反射式座標計測装置(VICON)     にて床反力計上での立ち上がり動作時にお     ける関節位置等を計測した。     このシステムにより各体節の矢状面角度,     関節位置,床反力を求め,リンクモデル計     算により,立ち上がり動作中の股関節伸展,     膝関節伸展,足関節底屈モーメントを算     出し,起立補助機能の有用性を検証した。         被験者:関節等に疾患のない健康な23歳の女性1名        身長161.7cm 体重51.3kg       専門家指導,協力: 広島県立保健福祉大学理学療法学科大塚研究室        
 関節の位置と,足の下に敷いている床反力計の値から 人間が床を押す力がそベクトルとして,計測されます。 このベクトルと,関節位置計測から得られる関節角度や 加速度との関係により,関節にかかるモーメントが算出されます。

測定風景: 体の主用な関節にその置を測定するための      端子を取り付けています。
●結果   肘掛や背もたれ等の影響を受けない,スツールでの起立補助機能を以下のように検証した。

○膝関節   バネ使用時における伸展方向の最大関節モーメントは,固定時の40%程度の値であった。  ○足関節   バネ使用時における底屈方向の最大関節モーメントは,固定時の55%程度の値であった。 ●まとめ   起立補助機能の利用により,下肢の膝関節,足関節にかかるモーメントが低下し,関節への負担軽減が 確認できた。
6.筋活動量による評価 日時:平成16年10月5日〜7日(9:00〜12:00)    場所:広島県立東部工業技術センター        方法:高齢者の着座ならびに起立動作中の筋電位を計測した。筋電位は,多用途テレメータ(NEC製,サイナア       クトMT11)を用い,時定数0.03sec,広域遮断フィルターOFF,サンプリング周波数1kHzにてデータレコー       ダに記録した。得られたデータは,体動等のアーチファクトを除去するため,10Hzのハイパスフィルター       をかけ全波整流後,積分値を求めた(以下EMGデータと呼ぶ)。各条件で固定時のEMGデータを基準(100)       とし,起立補助機能(バネ使用時)のEMGデータを正規化した値(%EMG)を算出した。            被検筋:内側広筋(右図@),大腿直筋(A),脊柱起立筋(B),上腕三頭筋(C)        いずれも右足,右手側とした。    被験者:Aさん 男 62才  身長160cm 体重61.8kg 転子高80cm        Bさん 男 62才  身長168cm 体重66.2kg 転子高89cm        Cさん 男 64才  身長165cm 体重54.3kg 転子高84cm        動作試行:       
※ EMG : electromyogram. : 筋電位(筋電図)
6-1.筋電位波形と動作 略 6-2.筋電位波形での比較
6-3.筋活動量グラフ 略 6-4.結果とまとめ 略 7.まとめ
 関節モーメントによる評価では,下肢の各関節にかかる負担を起立補助機能により40〜55%程度に軽減すること が分かった。  筋活動量による評価では,着座,起立動作において,ハイタイプ,ロータイプ,スツールの起立補助機能により, 下肢の筋負担が座面固定に比較して,概ね65〜85%程度に軽減していることが分かった。 現状では,足腰に少し衰えが出てきた高齢者が想定する使用ユーザとして適当であると考える。重度や複合的な 疾患を持つ高齢者や痴呆,感覚認知の衰えた人には,安全面への対応や訓練等の必要性もあり一般の流通経路で提供 することは難しいと思われる。ユーザの生活の中に取り入れられるためには,起立機能だけでなく,椅子としての座 り心地の基本性能をしっかりクリアすることも重要な要件のひとつであるので,今後の検討が期待される。  

広島県立東部工業技術センター
産業デザイン部 部長 古川 昇 様


1 この実験の目的は
  起立補助椅子の補助機能を検証することであります。

2 この実験で分かったことはなんでしょうか?

 人のもも前面の筋肉である内側広筋,大腿直筋の負担が約2割から3割くらい軽減しました。
 また膝の関節にかかる関節モーメントの試験では約5割軽減しました。

3 ユーザーへの評価はどのようなことでしたか?
 ロータイプの場合、特に和室で使用した時にまわりの人と会話する時に目線をあわせられる
 という大きな特徴があります。

4 どのような方にご利用頂けと思われますか?

 すこし脚、腰が衰えてきたかなあといわれる高齢者の方ですね
 そいう方を中心に使っていただきたいと思います。

2004年11月29日広島県立東部工業技術センターにて 収録


商品ご購入の参考にしていただきたいと思っています。 株式 会社 中居 木工 」

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